「 」で出来てく物語
【飛行機】
春太「あれ、俺の右隣って真白だったっけ」
真白「そうだけど……」
春太「……俺さ、中学校の修学旅行で飛行機乗ったとき、何飲みますか? って聞かれて、周りがオレンジとかリンゴ選んでるのにコーヒー選んだんだ」
真白「もう少しで飛ぶってときに、なんか不安になるエピソード出さないでもらいたい」
春太「別にコーヒーは飲めるんだ。苦いけど」
七世「真白、椅子少し倒すよ」
真白「あ、うん大丈夫」
春太「しかもホットだった。しかもミルクと砂糖使いますか? って聞いてきたCAさんがすごく美人だったんだよ」
真白「良かったじゃん。美人好きじゃん」
春太「ものすごくミルクと砂糖が欲しかったのに、美人と会話してるという恥ずかしさで、思わず使いませんって答えたんだ」
真白「そこまで来るとただの馬鹿なんじゃない?」
春太「仕方なくブラックコーヒーを飲むハメになって、残すわけにもいかず……」
真白「仕方なくって……ほぼ自分の責任だけど」
春太「空中で揺れる機体に乗ったまま、熱々のブラックコーヒーを飲み干して俺は……」
アナウンス《まもなく当機は発進いたします》
真白「俺は……?」
春太「右隣に座っていた玉木くんの制服に吐いた」
真白「ちょ……っ! 誰か……! 誰か席変わって……!! だ、誰か……!」
桜子「うるさいわねぇ! 静かにしなさいよ真白! もう動き始めたんだから席なんて変えられるわけないでしょ!」
真白「だ、だって……このままじゃ俺……春太に汚されちゃう……」
周り「「「「……!?」」」」
春太「激しく誤解を招く言い回しはやめていただきたい」
真白「誤解じゃねぇよ。そのままの意味だろ……あぁ、父さん母さんごめん……」
春太「大丈夫だって! コーヒーを飲まなきゃいい話だから! ちょっとお前のこと脅かそうとしただけだから!」
真白「本当かよお……俺その玉木くんみたいに修学旅行中ずっとゲロまみれの制服で行動するなんて嫌だよお……」
春太「大丈夫だ。アイツは4泊5日間学校の指定ジャージで行動してたから。おかげで集合写真玉木だけ浮きまくりだったけどな」
真白「あぁ、かわいそうに……ていうか、吐くなら自分の所では吐けよ」
春太「そんなことしたら俺の制服が汚れちゃうだろ! 向こう行って学校の指定ジャージでナンパなんて出来ねぇよ!」
真白「修学旅行でまでナンパすんな……!!」