「 」で出来てく物語
【ホテル】
美弥「あぁ、もお……途方に暮れることしかできない。みゃーは野宿……」
春太「……げっ」
真白「げ?」
春太「俺らの部屋の前に……アホがいる」
真白「アホって……あぁ、この前の! 春太の従兄弟だっけ」
春太「なんであいつがここに居るんだよ……5階は男子フロアだろ」
真白「な、なんでだろう……」
美弥「あぁ……このままだとみゃーは泣いてしまうよ……眠くなって天使が迎えに来るよ……」
春太「お、おい……」
美弥「わわ、天使!」
春太「誰がだよ!」
美弥「あっれー、はるるんじゃーん! ちょっと久しぶり~! 元気ー? みゃーはね、すごく健康!」
春太「そ、そう……そのわりにさっきまで死にそうな顔で丸まってたけどな」
真白「どうかしたの? ここ男子フロアだよ」
美弥「え、そうなの? 別に夜這いとかしにきたわけじゃないんだけど」
春太「こんな堂々と夜這いしに来る奴もいねえと思うけど」
美弥「あのね、自分の部屋がどこか分からなくってー、先生に聞きに行こうと思ったんだけど先生の部屋も分からなくってー」
春太「迷子か……」
美弥「だからとりあえず生徒会長に聞けば分かると思って聞きに来たんだけど、キリちゃんの部屋も分からないから、ここで救助を待ってた」
真白「あ、あの……」
春太「みなまで言うな……あの、本当アホなんだこの人……なんかごめん」
真白「いや……春太は悪くないよ……」
美弥「はるるん、みゃーの部屋分かる?」
春太「いや、普通に知らないんだけど」
美弥「えー、じゃあみゃーの部屋わかる人が来るまでもう少しここで待ってみるねー」
春太「ここ俺らの部屋の前だし、ここにいてもお前が望んでる人は永遠に現れないと思うぞ」
美弥「えっ、そんな……」
湯浅「君たち、そこで何してるんだ……?」
真白「あ、会長さん」
春太「助かった……」
湯浅「……? なんで男子フロアに小花さんが?」
春太「自分の部屋が分からなくなったんだと。これ会長さんとこのお子さんでしょ」
湯浅「産んだ覚えはないが……」
春太「大丈夫、大丈夫。気付いたら母親だったってことよくあるから」
湯浅「父親ならまだしも、母親は絶対ないだろ……!」
春太「とりあえず俺らこれから風呂入らなきゃダメだし、めんどくさいし……会長さんにパス」
湯浅「えっ」
真白「ごめんね会長さん」
湯浅「えっ」
美弥「たぶんだけどね、みゃーの部屋は女子フロアにあると思うのよねー」
湯浅「……なんか、今日はめんどくさいものをパスされることが多いな……」