「 」で出来てく物語
たまたま、10
【テーマパーク3】
キャスト「あ、そこの可愛らしい学生カップルさん!」
桜子「…………」
春太「…………」
キャスト「君たちだよ~!」
桜子「はい……!?」
春太「すごい勢いで勘違いです……!!」
キャスト「あ、じゃあまだカップルじゃないのかな?」
桜子「ま、まだっていうか、永遠にですけど!」
キャスト「じゃあ、お友達かな? 君たち、良かったらこれチャレンジしてみない?」
春太「……なんすか、これ」
キャスト「丸い台の上に積み重ねた3つの積み木を、このボールをそこから投げてもらって見事全部、台の上から落とすことが出来たら、ここにあるぬいぐるみの中からどれでも好きなのをひとつあげますよ!」
桜子「あ……」
春太「なんだよ」
桜子「ううん、昨日白雪が見せてくれたガイドブックにこういうチャレンジコーナーがあるって載ってたから、たぶんこれのことだなーって」
春太「ほー。このぬいぐるみ可愛いじゃん」
桜子「えー、こっちの方が可愛いよ! ガイドブックに載ってて、すごい可愛いなーって思ってたもん」
春太「相変わらずセンスがない! 乳もないのに……!」
桜子「黙れ! こういうとこで声高らかにそういう事言わないでもらえる……!?」
春太「言わなくてだいたい分かるだろ、その見た目じゃ……」
桜子「っ……!」
春太「いってぇ……!! ひじじゃん! 今お前俺のみぞおちにひじ入れただろ!!」
キャスト「仲良しで羨ましいねー! ほらほら、男子くん! 女子ちゃんにかっこいいとこ見せるためにも、チャレンジしてみたら?」
春太「大丈夫です、俺可愛い子の前でしかかっこつけませんから」
桜子「ムカつくわ……!! どうせ出来ないだけじゃない! 七世から聞いたわよ、真白のためにUFOキャッチャーしたけどアームがかすりもしなかったって」
春太「うわ、密告された……」
桜子「だからこういう系も絶対苦手でしょう。どうせかすりもしないわ。スカっていくわよ!」
春太「あ、ムカつく。見てろよ俺まじ本気出すから」
キャスト「おー、どう? チャレンジしてみる? 1回500円でボールを投げれるチャンスは3回! 1度投げて積み木が崩れても、2回目からはまた最初と同じ状態に戻して最チャレンジになるけど」
桜子「やめときなさいよ、どうせ出来なくて泣くんだから」
春太「泣かねーよ。ばーか」
桜子「……っ、ば、ばかって」
キャスト「はい、じゃあボールどうぞ。頑張れー男子くん!」