悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence
ふいに脳裏に浮かぶのは、
見知らぬ土地で、真っ白な衣を身につけた青年。
その青年は、鞘から剣を解き放って
何かを流れるように切りつける。
斬りつけた傍から、バブルがはじけるように
連なって金色の雨が降り注いだ。
突然傾いだ体を支えるのは飛翔。
「どうした?」
「何でもない。
不可思議なビジョンが映っただけだ。
それより柊、ボクたちは継承者として
何を学べばいい」
雷龍を使役するのが当主の証。
そして雷龍の神子に成すべきことがあるのなら、
ボクはそれに全身で向き合うだけ。
それがボクに与えられた宿命ならば……。
「明日の明朝、お三方には私のお供を」
柊は意味深に告げて、
一礼すると、華月の病室を後にした。