悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence
急きょ、実戦形式でコンサルスタート。
患者自身はそれぞれに仮想患者データー。
ここに居合わせた連中がそれぞれに、
成元御大と嵩継さんそれぞれのところにいってコンサル研修開始。
「由貴、お前さんは丁寧だけどいまいち観察力が甘い。
それに今の状況考えろ。
プレゼン聞いてんじゃねぇ。
弾き出した診断的には間違ってないが、
その病名を弾き出すための決定的なものが今一つ欠けてる。
ギャンブルしてんな。次はコンサルしやがれ。次、早城」
何時もは兄貴分的な雰囲気を醸し出す嵩継さんも、
この時ばかりは妥協しない。
えっと……確か、プレゼンとコンサルはわけるんだったよな。
由貴が怒鳴られてたのは、
アイツが混ぜてまとを得なかったからだろ。
まずは相談できる状況か、確認するんだったよな。
とりあえず深呼吸を一つして話かける。
「嵩継さん、一件相談にのっていただきたいのですが
お時間宜しいですか」
「あっ、あぁ……相談な相談」
突然、実戦モードに入った俺に嵩継さんは驚いたような表情を見せて
すぐに平静を装った。
「尿管結石の35歳の男性で特に既往歴はありません。
昨日発症の尿管結石がCT上7ミリの結石が動脈交差部付近に見えていて
水腎も確認できています。
特に発熱や無尿等なく、NSAIDs【エヌセイズ=解熱鎮痛薬】で
鎮痛も出来ていますが、5ミリ以上なので今後の方針を相談をさせて頂きたいのですが」
仮想カルテのデータをカンニングペーパーでもある
参考書の要点を重視させながら、状況を報告していく。
「おっし。
とりあえず、良く勉強したな。
その調子でこれからも頑張れよ。
んじゃ、オレもそろそろ時間だから今日は撤収。
早城、遅くなっちまったが神威に電話してやれよ」
そう言いながら、嵩継さんは練習に使っていたカンファ室を後にした。
慌てて俺も医局に戻って時計を見つめると、
時間が21時を回っていた。
ロッカーから携帯を取り出して、アイツの電話へと発信する。