悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence


急きょ、実戦形式でコンサルスタート。
患者自身はそれぞれに仮想患者データー。


ここに居合わせた連中がそれぞれに、
成元御大と嵩継さんそれぞれのところにいってコンサル研修開始。



「由貴、お前さんは丁寧だけどいまいち観察力が甘い。
 それに今の状況考えろ。
 
 プレゼン聞いてんじゃねぇ。

 弾き出した診断的には間違ってないが、
 その病名を弾き出すための決定的なものが今一つ欠けてる。

 ギャンブルしてんな。次はコンサルしやがれ。次、早城」




何時もは兄貴分的な雰囲気を醸し出す嵩継さんも、
この時ばかりは妥協しない。




えっと……確か、プレゼンとコンサルはわけるんだったよな。



由貴が怒鳴られてたのは、
アイツが混ぜてまとを得なかったからだろ。


まずは相談できる状況か、確認するんだったよな。


とりあえず深呼吸を一つして話かける。



「嵩継さん、一件相談にのっていただきたいのですが
 お時間宜しいですか」

「あっ、あぁ……相談な相談」



突然、実戦モードに入った俺に嵩継さんは驚いたような表情を見せて
すぐに平静を装った。


「尿管結石の35歳の男性で特に既往歴はありません。
 昨日発症の尿管結石がCT上7ミリの結石が動脈交差部付近に見えていて
 水腎も確認できています。
 
 特に発熱や無尿等なく、NSAIDs【エヌセイズ=解熱鎮痛薬】で
 鎮痛も出来ていますが、5ミリ以上なので今後の方針を相談をさせて頂きたいのですが」



仮想カルテのデータをカンニングペーパーでもある
参考書の要点を重視させながら、状況を報告していく。



「おっし。
 とりあえず、良く勉強したな。
 
 その調子でこれからも頑張れよ。
 んじゃ、オレもそろそろ時間だから今日は撤収。

 早城、遅くなっちまったが神威に電話してやれよ」




そう言いながら、嵩継さんは練習に使っていたカンファ室を後にした。




慌てて俺も医局に戻って時計を見つめると、
時間が21時を回っていた。




ロッカーから携帯を取り出して、アイツの電話へと発信する。



< 127 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop