悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence
私は……時雨の小母さんと、
時雨自身を……そして妃彩さんの心を守りたくて
この道を選んだんだから……。
車が動き出して暫くすると、
どんよりとした低い雲が広がって、
雨が音を立てて降り始めた。
大粒の雨が、
フロントガラスを打ち付けていく。
その雨は飛翔の頭上で、
ずっと降り続ける黒い雨にも見えて、
思わず車窓から広がる雲を見つめ続ける。
この雨が雲が流れてあがるように、
飛翔の心の中に降り続ける、
黒い雨も何時かは、止む日が来るのだろうか……。
突然、動き出した出来事に、
不安を覚えながらも、
私はその雨に打たれるために歩き出す。
飛翔がサインを出したときに、
何時でも手を差しのべられるように。
本当の意味での、
親友同士になるために……。
だから……飛翔、
一人で無理をしないでくださいね。
私は貴方の傍に居ますから。