悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence
「すっかり飛翔も保護者だねー。
御神体とか、龍の継承とか私には、わからない世界のことだけど
当事者に取っては、大変な出来事には違いないよね。
けど……助けられる方法は、考え込むほど難しいものではないんじゃないかな。
私はどんなことがあっても飛翔の傍で見守り続ける。
飛翔のことも時雨のことも、私は一番近くで見守るって心に決めたから。
すべては、その一歩から広がっていくんじゃないかな」
俺自身の不安に寄り添ってくるように染み入る、
親友の言葉。
考えても悩み続けても始まらない。
俺自身が出来ることはただ一つ。
神威があの鬼を助けたいと奔走するのならば、
その願いをかなえるために、アイツを支え続けること。
アイツの傍で、見守り続けること。
どれだけ考えても、それしかない。
だけどそれは……今の俺にでも出来る
大切な役目なのだと気付かされた。
今は、この親友と仲間たちの好意に甘えながら
いつかは……こいつら恩を返したい。
それが本当の意味での『仲間』って奴なのかもしれない。
由貴と過ごした時間は俺にとって、
見失いがちな大切な時間を取り戻させてくれた
そんな気がした。