悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence
18.覚悟の雨 -神威-
この部屋に閉じ込められて、
康清と、康清の配下の者たち以外とは
接する機会が一切なくなった。
あれからどれくらいの日にちが過ぎたのか、
今のボクには感覚すらわからない。
多分、新学期はもう始まっている。
*
新学期。
*
そんな言葉を今も想うボク自身に驚く時間。
そう……ボクがただの小学生なら、
今も昂燿校で同級生と一緒に、
楽しい時間を過ごすことが出来たかもしれない。
だけど……ボクは、
徳力家の当主であり、民を守るべき生神。
何も知らない、ただの子供では……
お父さんが旅立ったその日から居られなくなった。
どれだけ小さくても、
ボクが一族を背負う当主であることは間違いないのだから。
どれだけ……飾りばかりの当主でも当主と言う役割が、
生まれた時からボクに与えられた使命であることは変わらない。
ボクが当主としての役目を果たすため、
海に還ることは、古から決められてしまっている。
それに変わりはない。
どんなにその現実から逃げ出したくても、
ボクには逃げ出す未来など許されない。