あんたなんて、だいっ嫌い…!!!
「…か……るか…」

誰か呼んでる?

「…は…る…」

誰なの?ねぇ。

霧にかかってよく見えない。

見えるのは、シルエットだけ。

でも、聞いたことある。この声…。

落ち着く…。

「遥」

そう、はっきり呼ばれた。

覚えてる。忘れるはずのない、愛しい声。

そして、段々と霧が晴れ、はっきりと姿が見えるようになった。

「…大地…?大地!会いたかった!」

姿を見る前に、私はその人に抱きついた。

そして、顔を埋めながら、

「なんで?なんでいきなり私の前から
消えたの?」

でも、返事が来ない。

おかしいと思い、顔をあげる。

「大地?…って、田嶋大輝?!」

そこで、目が冴えた。

どうやら、全て、夢だったらしい。

起きて辺りを見渡す。誰もいない。

そう思ったのに、ベッドの横にいたのは、田嶋大輝だった。

「な、なんで?」

「…ふ、ふぁー。よく寝た。」

そう言い、田嶋大輝は伸びをした。

どうやら、私が寝ている間、田嶋大輝もここで寝ていたらしい。

そして、目が冴えてきたのか、いきなり、

「なあ。…大地って誰?」

ドキッ!

「な、なんで知ってんの?」

「いいから、答えろよ。」

そう言い、田嶋大輝は私の顔をじーっとのぞいてきた。

「い、いや、あの、その」

ガラガラガラッ

丁度私が答えに困ったとき、保健室のドアがあいた。

「田嶋くん。ありがとねー。って、遥!起きてて大丈夫?」

「う、うん。まあね。」

「よかったー。まあ、そういうことだから、田嶋くんはもういいよー♪」

「お前、勝手な女だな。」

そんな田嶋大輝の言葉は無視し、桜は私に話しかけてくる。

田嶋大輝も、観念したのか、じゃあな。といって、保健室からでていった。




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