片思い卒業証書
「もう! 何すんのよ!」
「おまえが無視するからだろ。……つーか、俺の気持ちはちゃんと分かったわけ?」
あたしと同じ高さになった篤志の目線が熱い。
じっと見つめられていると変に緊張してしまい、恥ずかしさが急激に込み上げてきた。
「わ、分かってるよ」
「……ん。それなら良い」
長い篤志の腕が伸びて、あたしの頭を引き寄せてきた。
机を挟んだもどかしい状態で、篤志に抱き締められる。
近い距離に居るはずなのに触れられないぬくもりが、この恋の険しさを示しているみたいだ。
「彩愛のこと、ずっと好きだった。だから告白されたときはすげー嬉しかったよ。でもこれからは進学先が違うし、いつか寂しい思いをさせるなら俺の気持ちは言わない方が良いと思ってたんだ」
「そう、だったの……」
篤志も、あたしと似たように悩んでたんだね。
今までとは違う距離が二人の間に生まれることに戸惑って、ずっと足踏みをしていたみたい。
篤志はあたしの身体を少し離すと、至近距離で目を合わせてきた。
苦しそうに揺れる瞳が、あたしの心を支配する。