片思い卒業証書



一年生のときは二組と五組、二年生のときは五組と八組。三年生に関しては一組と九組。


一組と九組は校舎棟すら違うから、会いたくてもすれ違う機会さえ訪れなかった。


本当、ありえなさすぎる。



別にそれだけが原因ってわけじゃないけど、高校生になってからはほとんど篤志と会話を交わさなくなった。


よくよく考えれば、それは中学生になった頃から始まっていた気もする。


投げかける言葉が減った。顔すら見れない日も続いた。


たった、それだけのこと。でもそれは、あたしたちには大きすぎる変化だった。


小さい頃から一緒に過ごしてきた篤志との時間が削られていく。


それのせいで徐々に、二人の距離は開き始めていたのかもしれない。


篤志が野球を始めたことも、二人が離れていくきっかけだったと思う。


中学生になって野球部に入った篤志は、幼い頃の頼りないイメージなんて寄せ付けないほど外見も中身も強くなった。


打者としての能力を発揮した篤志は、気が付いたらみんなの注目の的になっていて。

朝早くから夜遅くまで、ほぼ毎日部活漬けの日々を過ごすようになっていた。


そして高校も、この地方では野球部が強豪で知られるこの学校に入学。

2回戦で負けたとは言え、篤志は二度も甲子園でホームランを打った。



< 5 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop