捨て猫にパン
「陣…。いっぱい、いっぱいアリガ…」
「ちょい待ち」
「…え?」
「もう言うな。俺、泣いてすがるかもよ?」
「陣のガラじゃないね?」
「だろ?ホラ、真琴。もう行けよ。待ってんだろ?アイツ」
「…うん」
「元気で、な」
「うん。陣も」
軽く手を振る陣。
お互い“バイバイ”は言わずに別れた。
言ってしまうと泣いてしまいそうだった。
陣も。
あたしも。
それぐらいあたし達は大切な時間を重ねたから。
その時間は。
“自分に正直になるため”の時間。
あたしはかけがえのない人を追う時間。
陣は大事にしてくれたあたしを送る時間。
止まった時が。
やっと動き出したんだ。
「ちょい待ち」
「…え?」
「もう言うな。俺、泣いてすがるかもよ?」
「陣のガラじゃないね?」
「だろ?ホラ、真琴。もう行けよ。待ってんだろ?アイツ」
「…うん」
「元気で、な」
「うん。陣も」
軽く手を振る陣。
お互い“バイバイ”は言わずに別れた。
言ってしまうと泣いてしまいそうだった。
陣も。
あたしも。
それぐらいあたし達は大切な時間を重ねたから。
その時間は。
“自分に正直になるため”の時間。
あたしはかけがえのない人を追う時間。
陣は大事にしてくれたあたしを送る時間。
止まった時が。
やっと動き出したんだ。