捨て猫にパン
「仕事そっちのけで何考えてる?」


「…スイマセン」


「謝れっつってない。何考えてるか聞いてる」


…怒ってる。


“今朝誘われたデートのことで”なんて。


いくら相手が陣主任でも言えない。


「まさか、痴漢から助けてくれたアノ男…」


「せ、生理中でっ!朝から貧血気味で…だ、だから、倉持さんは関係なくて…スイマセン…」


「あ…。あぁ、そうか。その、アレだ、スマン。真琴も女だし、その、色々あるよな。余計な気ぃ回して悪かった…」


「いえ…あたしの方こそ…」


「あの、アレだ。体調悪いなら支店長には俺からうまく言っとくから、早退してもいいんだぞ?」


「いえっ、大丈夫ですっ。お気遣いいただいて…スイマセン…」


あたしのウソの言い訳にバツの悪そうな陣主任を見て、心がチクンとする。
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