捨て猫にパン
モジモジと立ったままのあたしに陣主任は、


「座れよ」


と言って、コーヒーメーカーからコーヒーを一杯と、ミルクを1つくれた。


「あ、ありがとうございます…」


コーヒーの香りの中に、2人ぼっち。


なんか、変…。


陣主任と2人でこんなに居心地の悪かったことなんてないのに…。


目も合わせられなくて、言葉も出ないなんて。


何か言ってくれれば、いつもみたいにヘラヘラ笑って冗談の1つも言えるのに。


陣主任も。


いつもと違いますよ…。


空になった紙コップを手の中で転がしてると、陣主任が2回も大きな咳払いをした。


「あのさ」


「ハイ…」


「その倉持って男と、まだ連絡取ってるのか?」


「連絡…というか…。朝、一緒に…」


「まだ送られてんの?」


「…ハイ」


───ハァー…。


陣主任の大きな溜め息にチラッと頭を上げると、2人の視線が絡まった。
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