捨て猫にパン
「おはよう、真琴ちゃん」
「おはよう…ございます」
「乗って」
「…ハイ」
いつものシルバーの車の助手席。
でもいつものようにくすぐったくない、この距離。
だけど自然と重なった倉持さんの左手に。
あたしは作り笑いで倉持さんの話に相槌を打つ。
「やっぱり仕事着と雰囲気違うな」
「そうですか?」
「あんまりほめたことないけど。素敵だね、って言うと、わざとらしい?」
「フフッ…。あたしもほめられたことないので、わかりません」
倉持さんに言ってもらえた言葉が嬉しくて、でも素直に喜べないのは。
あたしに印された陣主任がいるから。
どうして今、あたしは、のうのうと嘘を被ってここに座ってるんだろ…。
こんな糸が絡まったようなこんがらがった気持ちで、やっぱり会うべきじゃなかったんだ…。
「おはよう…ございます」
「乗って」
「…ハイ」
いつものシルバーの車の助手席。
でもいつものようにくすぐったくない、この距離。
だけど自然と重なった倉持さんの左手に。
あたしは作り笑いで倉持さんの話に相槌を打つ。
「やっぱり仕事着と雰囲気違うな」
「そうですか?」
「あんまりほめたことないけど。素敵だね、って言うと、わざとらしい?」
「フフッ…。あたしもほめられたことないので、わかりません」
倉持さんに言ってもらえた言葉が嬉しくて、でも素直に喜べないのは。
あたしに印された陣主任がいるから。
どうして今、あたしは、のうのうと嘘を被ってここに座ってるんだろ…。
こんな糸が絡まったようなこんがらがった気持ちで、やっぱり会うべきじゃなかったんだ…。