捨て猫にパン
「うわぁ♪すっごい朝顔!!」


人を埋め尽くすほど並んだ朝顔の道。


この時間だから咲いてる花は少ないけれど、それでもピンクや紫、色鮮やかに咲く花はあたしの心に眩しかった。


「キレー…」


緑のツルから伸びる花達と、浴衣を着た女の子達。


あたしも浴衣が良かった、な…。


「荷物になるから、帰りのお土産だね」


「ハイッ」


朝顔を抜けて露店へ。


金魚は飼えないから、何個もスーパーボールをすくったり、たこ焼きを2人で半分コ。


ひめりんごのあめは、ふたつ。


「飴、溶けちゃうから、食べたら?」


キラキラルビー色に輝く、小さなりんごあめ。


このキラキラを口にふくんでしまったら、その甘酸っぱさに、きっと心の中の倉持さんが光になってしまう。


陣主任が陰になってしまう。


だから…。


「せっかくなので、これはお土産にして、帰ってからゆっくり食べます」


「そんなに好きなんだ」


「ハイ…。スキ…」
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