捨て猫にパン
陣とメイ先輩のノリツッコミに、あたしなんかより2人のテンポ感の方がよっぽどお似合いのような気がした。


遠慮とか迷いとかカケヒキがなくて、正直で。


右手の薬指のリングを見て、ちょっと心が痛んだ。


「それより、あの枯れた花、何?」


「あ、あれは…出張行ってる間に枯れちゃって…。夏らしく朝顔って思ったんですけど…」


「俺、捨てといてやろうか?」


「ううんっ!いいの。また、種植えるから…」


「それより真琴、ケーキとビールって、合う?」


「絶品です」


あたしの言葉に笑う2人が近くて遠い。


いつも、そう。


陣も遠い。


一緒にご飯を食べててもあたしは遅くて。


一緒に歩いててもあたしは小走りで。


どうしても追いつけない。
< 76 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop