捨て猫にパン
翌朝は昨日とうって変わって、雨。
チェックアウトを済ませてペンションを出た後、陣は車で石造りの建物にあたしを連れて行ってくれた。
「ここ…?」
「うん。連れて来たかった場所。石の教会。雨、残念だな」
深い緑の森に溶け込んだ石造りの教会。
石とガラスが織り成す、神秘的な空間。
清らかで、おごそかで。
でも、どことなくなつかしさを感じる教会。
「流行りのチャペルとかもいいんだけどさ、こんな自然の中で、素の俺達でいつか心から本当に未来永劫の愛を誓えたら、って思ってさ。真琴の趣味じゃねぇかな?」
「ううん。とっても素敵…」
「真琴のドレス姿、まっさらで無垢で、俺の隣に咲く天使みたいだろうな、って思う」
「ありがとう、陣」
「ちょっと早いけど、今、誓えないか?」
「…え?」
「なんて、な。やっぱ俺、先走りし過ぎだよな。だから真琴は息切らしちまうんだ。その時まで、自然に2人で歩ける日まで待つよ。でも今はさ、明日を誓おう」
「明、日…?」
「うん。1日づつ、明日、その次の明日、次の次の明日って、さ。そうすれば踏み外さねぇだろ?」
「うん…」
「明日も隣に真琴がいますように」
教会で誓った陣の明日は。
戻れない明日。
教会を後にして、あたし達は日常の家に帰った。
雨にくすんだ軽井沢の風景が。
あたしの心とリンクした。
チェックアウトを済ませてペンションを出た後、陣は車で石造りの建物にあたしを連れて行ってくれた。
「ここ…?」
「うん。連れて来たかった場所。石の教会。雨、残念だな」
深い緑の森に溶け込んだ石造りの教会。
石とガラスが織り成す、神秘的な空間。
清らかで、おごそかで。
でも、どことなくなつかしさを感じる教会。
「流行りのチャペルとかもいいんだけどさ、こんな自然の中で、素の俺達でいつか心から本当に未来永劫の愛を誓えたら、って思ってさ。真琴の趣味じゃねぇかな?」
「ううん。とっても素敵…」
「真琴のドレス姿、まっさらで無垢で、俺の隣に咲く天使みたいだろうな、って思う」
「ありがとう、陣」
「ちょっと早いけど、今、誓えないか?」
「…え?」
「なんて、な。やっぱ俺、先走りし過ぎだよな。だから真琴は息切らしちまうんだ。その時まで、自然に2人で歩ける日まで待つよ。でも今はさ、明日を誓おう」
「明、日…?」
「うん。1日づつ、明日、その次の明日、次の次の明日って、さ。そうすれば踏み外さねぇだろ?」
「うん…」
「明日も隣に真琴がいますように」
教会で誓った陣の明日は。
戻れない明日。
教会を後にして、あたし達は日常の家に帰った。
雨にくすんだ軽井沢の風景が。
あたしの心とリンクした。