捨て猫にパン
いてもたってもいられなくて、あたしは部屋の鍵を閉めて、外へ飛び出した。


道路を横切っていくシルバーの車を見る度、胸がドキドキして止まらない。


会って何が変わるだろう。


きっと“会わなきゃ良かった”って。


後悔だけが残るに違いない、それだけはわかる。


でも会わずにはいられない。


だって、こんなに疼くんだもの。


こんなに恋しいんだもの。


会いたいよ…。


会ってその瞳に写りたい。


会ってこの手を握ってほしい。


会って、あたしは…。
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