隣の部屋のナポレオンー学生・夏verー
個人的にはタレーラン攻め、ナポレオン受け
*
無人の資料室でさし向かって座っているのは、御堂暁ことナポレオン・ボナパルトと、待田准教授ことタレーランである。
「ところで、わがは……いや、僕になにかご用でしょうか」
思わず普段の口調になりかけ、ナポレオンは慌てて訂正する。
タレーランは相も変わらず笑顔のままである。
「待田先生……?」
さすがに怪訝な面差しになって問いかけるナポレオンに、タレーランは「なに、大した用ではないさ」と肩をすくめて見せた。
「ただ、君に挨拶したかっただけだよ」
「挨拶、ですか」
いよいよなにか変だと感づいたのか、ナポレオンの顔から余裕が消える。
身構えんばかりに唇を引き結ぶ。
そんなナポレオンに詰め寄るようにして、准教授・タレーランは背を曲げ、いっそう顔を近づけた。
「お久しぶりでございます。
……皇帝陛下」