隣の部屋のナポレオンー学生・夏verー
ま、まさか、ね……?
思う一方で、ガラス窓に映ったあたしの顔は完全に色褪せていた。
「ナポレオンッ……‼︎」
あたしは小さく叫ぶ。
まさか、などと考えている暇はない。
もしこれで、ナポレオンがカーテンの向こうで、あんなことやこんなことなんかされちゃってたら……。
処女喪失、じゃなくて、童貞喪失なんてもんじゃない。
ふだんから笑顔が多くて、ニパッとすると女の子みたいなだけに、ナポレオンが本気で沈んでる顔なんて想像もしたくない。
心の何処かで心臓を高鳴らせている自分を黙らせて、あたしはさっと走り出した。