繋いだ手
「デッ！？　……でも、資料持ってきてって。だから、その」
「ん？　ああ、ついでに目を通したかったんだ。そうか気付いていなかったんだ、ごめんね」

　真剣な顔で謝罪をする彼に、普段は自分が頭を下げる方なのにと変な感じがした。
　デートのお誘いだったのに何を勘違いしたのか、ストッキングを穿きスーツを着ている。そんな彼女に対し、彼は完全オフモードの出で立ちだ。事情を知らない人から見れば二人は完全にアンバランスみ見えるだろう。それに、彼の方はこの休日にしっくりくる装いだからまだいいが、彼女は休日だと言うのにスーツなもんだから、周りからするとかなり浮いていた。

（もう色んな事が恥ずかしくて顔を上げられない！）

　とりあえず握りしめられてる手を解放して欲しい。本当は嬉しいけど周りの視線が気になってどうしようもなかった。
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