LAST SMILE
死なないで







「おはよー!!」




次の日のスタジオで、
あたしは元気良く挨拶して入った。


そこにはもうみんな集まっていて、
もちろん、祐兎の姿もあった。


少し、もしかしたら
これないんじゃないかって思ったけど、


あいつはいつも通りみたいで、
煙草をくわえてギターをいじっていた。





「祐兎。おはよ」


「・・・うす」




あたしが挨拶すると、
祐兎は顔も上げずにそう返事をした。






やっぱり、
いつもどおりに振舞うんだね。


この人は。




「あれ?なんだ?
 REIがモッチーになついてる」



「え?な、なついてるって・・・。
 そんなんじゃないわよ!!」




武田くんがそうからかうように言った。



なついてるって・・・。


あたしペットじゃないんだから!!


そうすると、
すかさず磯部くんも身を乗り出して話し始めた。



「しかも、“祐兎”って呼ぶとこ、初めてみたかも」


「なんだよ。みんな揃ったなら始めるぞ。
 おい、麗華、ドアちゃんと閉めろよ」


「はいはい。今閉めようとしてたんです!!」









「・・・・・何今の」


「モッチーが“麗華”って言った・・・」




「わかんねぇな」



「そうッスねー」







あたしたちは普通に練習をした。


事情を知って改めてよく見てみると、
結構危なっかしいところがいくつかあったけど、



本人は別に大変そうでもなかったから、
あたしは気付かないフリをした。










「じゃあ、お疲れ様―」




練習が終わって、あたしがいつもの通り
帰る準備をしてドアに手をかけたとき、















「おい、帰んなよ」











< 100 / 173 >

この作品をシェア

pagetop