LAST SMILE



祐兎が彫っていたものは、
以前、“REI”と彫られた場所に追加した文字。




「“REIKA”って・・・。
 何で今さら付け足したのよ」


「いいだろ。別に。文句あんのか?
 大体、お前が自分で言ったんだろ?
 “なんでKAがないのぉ~?”ってさ」


「なっ、あんたさ、その声真似やめたら?
 はっきりいって、似てないし、気持ち悪い」




大体あたし、そんな声高くないから!!


あたしがそう言うと、
祐兎はふっと笑った。



「はっきり言うよなぁ。お前」


「当たり前。これがあたしなの」



あたしは少し笑って視線を落とした。





なんか、やっぱり気になる。



あたしの名前まで入れてくれたのに、
祐兎の名前が入ってないのは嫌だな・・・。






でも、
このギター自体が“俺”なんだっけ?





祐兎らしいっちゃ、祐兎らしいけど、
何だか寂しい感じがするのは


あたしだけなのかな?







「何みてんだよ?」


「え?あ、ああ、何か、
 やっぱり気になるなぁって」



「何が?」









「・・・ここに、
 あんたの名前が入ってないのが」









あたしが指を指してそう言うと、
祐兎は一瞬黙った。









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