LAST SMILE
*
息がとまったかと思った。
祐兎は、あたしの頬を伝う涙を
そっと舐めるように拭った。
少しザラついた、祐兎の舌の感触が
あたしの頬を掠める。
びっくりして、あたしの涙は止まった。
それから祐兎は、
一度顔を離してから、また顔を近づけて、
今度はその頬に軽くキスをした。
「笑え。お願いだからさ」
ねぇ、祐兎。
あたし、
あなたがそういうなら、笑うよ?
だけどね、
あなたの顔を見ると、涙が出てくるの。
だって、こんなに力強く見えるのに、
どうしてだか、
すごく繊細で、傷付きやすくも見える。
だから、
どうしていいかわからなくて、涙が出る。
だけど、あなたがそう望むなら、
あたしは笑うから。
だから、死なないで。
あたしの前からいなくならないで。
お願いだから・・・。
あたしは溢れる涙を堪えながら、
笑った。
「ん。その顔だ」
祐兎が、静かに笑う。
その顔は、少年のように無邪気で
とても、愛しかった。
祐兎は今にも泣きそうで、
それでも堪えているあたしの顔をじっと見つめて、
今度は、唇にキスをした。
祐兎のキスはすごく熱くて、優しくて、
何かを確かめようとしているキスだった。
息が出来ないほどの長いキス。
角度を変えて、何度も、何度も。
やっと、唇を離した祐兎は、
あたしの顔をじっと見つめて、
そしてまた笑った。