LAST SMILE
「だから、わざわざ迎えに行ったってわけね」
真二が口を挟むと、
あいつは煙草を離してこっちを向いた。
「“迎え”じゃねぇ。強制連行だ」
なんだそれ。
迎えって言ったほうがよっぽど綺麗なのに。
そいつは再び煙草を加えて、ギターをいじっていた。
まったく。
なんなのかね。このマイペースっぷりは。
あたしはため息をついて、そいつに近付いた。
そいつはあたしに気付いて顔を上げた。
少しだけ茶髪な髪がサラッと揺れる。
蒼っぽい瞳があたしを捉えた。
「何だよ」
「名前。あんたのだけ教えてもらってない」
「ああ、モッチーでいいよ」
「やだ。だって、そんなかわいい呼び方、
あんたに似合わないから呼びたくない」
「なっ・・・!?」
あたしがそこまで言うと、
そいつは顔を赤くしてあたしをにらみつけた。
他のメンバーはあたしの言動に
笑いをこらえ切れていないみたいだった。