LAST SMILE






朝が来た。


カーテンを開けて、日の光を浴びる。


ケータイを開いて、アドレス帳を開く。



“持田祐兎”のところで手が止まる。




どうしようか。


メールをしようか?


電話をかけてみようか?





怖い。


返ってこなかったら?


出てくれなかったら?



そう思うと怖くて、
あたしはそっとケータイを閉じた。



「麗華!おはよう」


「おはよう。亜貴」


「おっすREI。今日は間違えんなよー?」


「わかってるよ。磯部くんも、おはよう」


「はよっす。なんか、REI、張り切ってる?」


「うん!張り切ってる。超張り切ってるよ!」








祐兎は、いなかった。


そこに集まっていたのはこの3人で、
あたしはそこにあるはずの金色を探した。



だけど、何度見ても、
そこにはそんな派手な色は映らなくて。



あたしは目を伏せた。






やっぱり・・・。



昨日、祐兎がいったことと・・・。






「麗華・・・もう少し待つから。
 大丈夫だ」


「亜貴・・・。ありがとう」




亜貴が、
あたしの肩を支えてそういった。




しばらくみんなで待つ。


磯部くんと武田くんは、
祐兎が来ないのは寝坊だっていって
ぶーぶー文句を言っていた。





そうだったらいいのに。



ただの寝坊で、

いつものようにからかって、


それじゃあ、行きますかって、


祐兎がみんなを奮い立たせて。






ライブが成功すればいいのに・・・。







「なぁ、亜貴。
 もうそろそろあっちいかねぇと・・」


「・・・そう、だな・・・・」


「え・・・」


「モッチーなら、そのうち直接くるでしょ」


「そうそう。行きましょ。
 時間だー!!」



時間がたって、あたしたちはついに、
その場を動かなければいけなかった。



みんなが、会場に入ろうと背を向けた。


あたしも背を向けるも、動けなかった。



亜貴が心配そうにあたしを見つめる。


祐兎・・。




祐兎・・・。







「祐兎・・・・っ」













「なんだよ」










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