LAST SMILE
*
朝が来た。
カーテンを開けて、日の光を浴びる。
ケータイを開いて、アドレス帳を開く。
“持田祐兎”のところで手が止まる。
どうしようか。
メールをしようか?
電話をかけてみようか?
怖い。
返ってこなかったら?
出てくれなかったら?
そう思うと怖くて、
あたしはそっとケータイを閉じた。
「麗華!おはよう」
「おはよう。亜貴」
「おっすREI。今日は間違えんなよー?」
「わかってるよ。磯部くんも、おはよう」
「はよっす。なんか、REI、張り切ってる?」
「うん!張り切ってる。超張り切ってるよ!」
祐兎は、いなかった。
そこに集まっていたのはこの3人で、
あたしはそこにあるはずの金色を探した。
だけど、何度見ても、
そこにはそんな派手な色は映らなくて。
あたしは目を伏せた。
やっぱり・・・。
昨日、祐兎がいったことと・・・。
「麗華・・・もう少し待つから。
大丈夫だ」
「亜貴・・・。ありがとう」
亜貴が、
あたしの肩を支えてそういった。
しばらくみんなで待つ。
磯部くんと武田くんは、
祐兎が来ないのは寝坊だっていって
ぶーぶー文句を言っていた。
そうだったらいいのに。
ただの寝坊で、
いつものようにからかって、
それじゃあ、行きますかって、
祐兎がみんなを奮い立たせて。
ライブが成功すればいいのに・・・。
「なぁ、亜貴。
もうそろそろあっちいかねぇと・・」
「・・・そう、だな・・・・」
「え・・・」
「モッチーなら、そのうち直接くるでしょ」
「そうそう。行きましょ。
時間だー!!」
時間がたって、あたしたちはついに、
その場を動かなければいけなかった。
みんなが、会場に入ろうと背を向けた。
あたしも背を向けるも、動けなかった。
亜貴が心配そうにあたしを見つめる。
祐兎・・。
祐兎・・・。
「祐兎・・・・っ」
「なんだよ」