LAST SMILE
クリスマスライブ
*
ライブは順調に進んだ。
4曲目に差し掛かったところで、
それは起こった。
祐兎が、顔を歪め始めたの。
なんで?
さっきまでは調子良かったのに・・・。
あたしは動揺を隠せないまま、4曲目を終えた。
武田くんだけがステージに残って、
他のメンバーは一旦はける。
あたしは水を持って祐兎のそばに行った。
「祐兎・・・大丈夫?もしかして・・・」
「大丈夫だよ。んな顔すんな」
「だって、辛そうだった!!」
「大丈夫だって。あー。寒ぃな。
今日。雪、降んじゃね?」
「祐兎!!」
あたしが叫ぶと、祐兎は一瞬黙って、
真剣な顔をした。
やっぱり、体調、酷いんだ。
だけど、我慢して、
痛みに耐えてここに来たんだ。
あたしが、昨日あんなふうにしたから?
あんなこと言ったから?
「ごめん。祐兎。
もういいから、やすんでて?」
「あー?なんでだよ。
人が折角楽しんでんだ。邪魔すんなよ」
涼しい顔でそういう祐兎。
亜貴が祐兎の後ろで、
悲しそうな顔をして立っていた。
「祐兎・・」
「おっ。そろそろフリ、
終わるみてぇだぞ。出るか」
「祐兎・・・」
「しっかりしろ!!
お前、Blue skyのボーカルだろ!?
んなくだんないことで
そんな情けねぇ顔してんな!!」