LAST SMILE
見せたくないのに、
見られたくないのに。
顔が勝手に上を向く。
涙でぐちゃぐちゃなあたしの顔を見ると、
祐兎は顔を近づけて
いつの日か、そうしてくれたように、
舌を這わせた。
なぞるように、頬に伝う涙を拭う。
「祐兎・・・」
「笑えって、言ったろ?
また泣いてんのか?」
とめどなく、涙が溢れる。
祐兎の温もりが、あたたかくて。
これが、余命を宣告された人の
温かさだとは思えないほど、心地良くて。
あたしも、離れたくない。
怖いのはあたしも同じ。
ここで祐兎を離してしまえば、
消えてしまいそうで。
だから、
だから・・・。
*
あたしはこのとき、
間違った決断をしました。
このとき、
もっとちゃんと考えればよかったのに。
ねぇ、祐兎。
あたしを精一杯
抱きしめてくれたあなたは
とても、あたたかかった。
そんなあなたの温もりが
とても愛おしかった。