LAST SMILE
★
それは、よく覚えている。
麗華が、
祐兎に向けたメッセージだったから。
「どこだ?麗華!」
俺は走った。
必死で、
その歌をたよりに探した。
この近くに、あいつらはいる。
どこかで、
どこかで麗華が歌ってる。
悲しそうに、
それでも、
幸せそうに・・・。
雪が降りしきる中、俺は見つけた。
真っ白い世界の中で
祐兎に抱きしめられたまま、
涙を流して歌い続ける、
愛しいあの子の姿を―
俺は動けなかった。
声をかけてやれなかった。
俺じゃ、
あの子の涙は止められない。
彼女は雪が止むまで、
止まることなく歌い続けていた。