LAST SMILE



「明日・・・。また来るから。
 ちゃんと気持ち落ち着けて
 葬式には絶対出よう。な?

 あいつも、それを望んでるはずだからさ」



亜貴の言葉に小さく頷くと、
亜貴はあたしの手首から滲む赤い血をそっと舐めた。


床に転がっていたリストバンドを拾い上げて
あたしの手首にはめてくれた。



「麗華。もう、泣くなよ?」



そういって、苦笑する亜貴。



亜貴がいなくなった後の部屋は、
妙に寂しくて、

あたしはそっとカーテンを開けた。



日の光があたしを襲う。


眩しくて目が開けられない。



ふと、首元を見ると、
反射して輝くネックレスが目に入った。





「あ・・・・」







-雪、好きそうだったから-










-クリスマスプレゼント-










ぎゅっと、
そのネックレスを握りしめた。



祐兎の、
最初で最期のプレゼント。



もう一度、
あの時に戻れたらいいのに。




そう思って目を瞑った。



だけど、戻れるはずもなくて、
ただ、眩しくふりそそぐ光に負けそうで、



そっと、カーテンを閉めた。






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