LAST SMILE
外は真っ暗で、悔しいけど、
祐兎がいて少しホッとした。
こんな中、一人で帰れなかったし。
「おい、こっちに来いよ。アホ」
「なっ!?あんたねぇ、言い方ってもんが・・・」
そこまで言うと、後ろからいきなり車が走ってきた。
「わっ!!」
突然ぐいっと手を引っ張られて、
あたしの視界が暗くなる。
見上げると、祐兎の喉仏が見えた。
今、この体勢はやばいって!!
ていうか、無遠慮に掴まれたはずなのに、
手、全然痛くなかった。
むしろ優しくて、ふわっとして、熱を帯びていた。
こいつ、こんなこと自然と出来るんだ・・・。
「ご、ごめん」
「ん。気をつけて歩けよ。危ねぇんだから」
とことこと、祐兎の隣を歩くあたし。
何か話題が欲しくて、祐兎の顔を見上げた。
「ねぇ、さっきの名前彫ってたやつなんだけどさ」
「あ?」
「あれ、あんたの名前は入ってなくていいの?」
あたしがそう言うと、祐兎はぴたっと止まった。