LAST SMILE



あれ?
あたし、まずいこと聞いた?



「このギターそのものが俺だから、名前なんて書かなくていいんだよ」



何、そのドヤ顔・・・。


心配して損した。
もしかしたら傷つけちゃったかなって思ったのに・・・。


祐兎は煙草を取り出して咥えた。


ライターに火をつけて、煙草を近づけると、
途中でその動作を止めて、煙草をしまった。


「なんでやめたの?あたし別に全然気にならないけど?」


「・・・俺の吸いたい時に吸うんだよ!!ほっとけ!!」


なっ・・・!?


なんだこの男。
自己中ってか、我侭っていうか・・・!!


ていうか、未成年の喫煙は禁止なのに!!!


さすが男子校の不良・・・。
髪もまぁよく金髪に出来たこと。



また会話なくなっちゃったじゃん。


そう思っているうちにあたしの家の前まで来ていた。



「あ、あたしここ」


「ふーん。んじゃな」



祐兎がそういって、煙草に火をつけた。


結局吸うのかよ!!


あたしは玄関の扉に手をかけて、振り返った。



「ねぇ、あんたの家、こっち方向なの?」


「ああ。もっと先」


「そっか。じゃあ、また明日」


「おう」





あたしが家に入る瞬間、
微かな煙草のにおいがふわっ、と舞った。


それは、それまで一緒にいた祐兎が纏っていたものだと
分るのにそう時間はかからなかった。











たった一日。




たったの一日だけであたしは、
もう随分前からBlue skyのメンバーのような感じがした。






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