LAST SMILE
*
部屋の中では、
煙草を吸ってボーっとしている祐兎がいた。
煙草を吸っているその横顔は妖艶で、
あたしはついつい見入ってしまっていた。
ふいに、
祐兎がこちらに気付いて眉を動かす。
「なんだよ。入ってくんなよ」
「ねぇ、別に気にしてないから」
「は?」
あたしは思い切ってそう口にした。
祐兎はびっくりしたように素っ頓狂な声を発した。
「この間のこの、リストバンドのこと、
別に気にしないでよ」
「なんで?別に何とも思ってねぇけど?」
「嘘。じゃあ、なんであんた、最近おかしいの?」
あたしがそう聞くと、祐兎はぴくっと反応して、
そしてあたしをちらっと見た。
「別に普通だろ」
「嘘。ずっと、怖い顔してる。ムカつくやつだけど、
あんたはそんな顔じゃない」
「ムカつくってなんだよ!?」
「ほんとのことじゃない」
何も言わなくなった祐兎は、
そっと煙草の火を消した。