LAST SMILE
*
何が何だか、
訳のわからないうちにあたしはステージ上にあがった。
歓声が沸き起こる。
なんだか、自分の通いなれた学校なのに、
見知らぬ土地に来たみたいな、そんな感覚。
今までこんな緊張したことないのに・・・。
「なぁ、あれREIじゃね?」
「あ、ホントだ」
「うちさぁ、ブログ見たけどさ、
本当だったんだ?」
「マジで~?嘘―!?」
色んな声が聞こえる。
ぐるぐる、
頭の中をみんなの会話が目まぐるしく駆け巡る。
あたしが固まっていると、
祐兎が隣にすっと出てきた。
「どーもー。こんにちは。“Blue sky”です!
さ、みんなもう気付いてんだろ?
ReesのREIは俺、ギターのモッチーが連行した」
ちょっと!!
何言ってんの!?
でも、みんなの反応は意外といいもので、
返せよー!!とか、戻ってきてー!!とか、
拍手をするやつとか・・・。
なんで?
こいつが冗談めかして言ったから?
あたしが祐兎を見ると、
祐兎と視線が合い、祐兎は静かに笑った。
あ・・・。
また。
またこいつは無邪気に笑うんだ。
何か問題でも?
そんな顔をして・・・。
だから、あたしもどうでも良くなっちゃって、
祐兎がいきなり弾き始めたギターを聴いて目を閉じた。
何度も、
何度も練習した曲。
約1ヶ月っていう短い期間で、練習した曲。
これが終われば、
あたしもBlue skyのメンバーだ。
あたしは大きく息を吸って顔を上げた。