LAST SMILE
彩夏が声のトーンを落としてあたしに言った。
どういう意味?
ていうか、
こんなのあたしの知ってる彩夏じゃない・・・。
「REIがバンドをやる目的って、
男にちやほやされたいっていうことだったんだ?」
「なっ・・・!?」
何言ってんの?
あたしがバンドをやる理由?
それが男のためっていいたいの?
何?
何なの?
あんた、本当に彩夏?
あたしが黙っていると、彩夏はため息をついた。
「ね、楽しい?
そんなにイケメン揃いのメンバーに囲まれて」
「・・・・・・」
「うちらとは、結局遊びだったんでしょ?」
「・・・・・・」
「汚い女。ずるいよね。REIは・・・」
やめてよ。
やめて。
そんなんじゃない。
あたしがバンドをやる理由は・・・っ!!
「おい、てめぇ、いい加減にしろや」
え?
あたしの心の声、口に出た?
って、そう思うくらい、
その言葉はすぐそばから降ってきた。
振り返ると、
そこにはすごく怒った顔をした祐兎が立っていた。
いつも怖い顔だけど、
あれは通常運転だったんだと今分る。
だって、今、
本気で怒って・・・。
「ちょっと、女の子に“てめぇ”とか怖いんですけど」
「ぶってんのも大概にしろや。黙んねぇと殴んぞ?」
祐兎は彩夏にそう言われてもやめなかった。
どうして?
なんで祐兎が・・・?