LAST SMILE
「おい、元メンバーだかなんだか知んないけど、
ちょっとそれは言い過ぎなんじゃない?
彩夏ちゃーん??」
武田くんも、気付けば彩夏にそんな事を言う。
爽やかな口調だけど、何故かとっても怖い。
武田くんも、怒ってる・・・?
「ReesのSAYAさんっすよね?
素ってそっちなんすか?意外ですよね」
磯部くんも・・・。
年下のこの場合の敬語って、なんかくるよね。
彩夏、きっとプライドを傷つけられて
怒ってるはず・・・。
「な、なんなのよ。あんたたち。
だいたい、あんたたちが勝手に
REIのことを連れて行くからこんなことにっ!!」
「それくらいにしとけ。本川」
今までぎゃあぎゃあ言い合ってたのが
嘘みたいに静かになった。
亜貴が喋ると、みんなが冷静になる。
そんな雰囲気を整えるような力が、
亜貴の口調にはあるんだ。
亜貴は彩夏をじっと見て続けた。
「それでも、今まで一緒にやってきたんだろ?
一瞬でも仲間だったやつのこと、
同じ仲間が貶してんじゃねぇよ」
「・・・種田?なんで種田にそんなこと・・・」
「もう“Rees”の“REI”じゃない。
俺ら“Blue sky”の“REI”だ。
文句があるなら、対バンすっか?」
うう・・。
迫力ありすぎるよ。
亜貴にすごまれると、
あたしでも泣きたくなると思うな・・・。
彩夏は涙目になって、
顔を真っ赤にして去って行った。
「ありがと・・みんな・・・」
「大丈夫?REIのためだし。これくらいね」
そう言って力こぶを作って見せる武田くん。
「あの人、多分REIに嫉妬してるんっすよ」
そう、あたしを慰めようとする磯部くん。
「麗華、気にすんなよ?」
そう、優しい声であたしを安心させる亜貴。
そして・・・。
「あーあー。今ので体力も労力も使ったから疲れたわ。
おい、煙草と水、買って来いよ」
一番初めに、
あたしを庇うために怒鳴ってくれたこいつ・・・。
どうして?
どうしてみんなはあたしに優しくするの?
あたしなんて、入ったばかりの新参者なのに・・・。