LAST SMILE
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あれは中学に入ってすぐのことだった。
あたしの兄、藤堂奏磨が
文化祭でバンド演奏を披露するために
チームを組んだことを知った。
お兄ちゃんは、あたしの1つ上で、
勉強も運動も何でもすぐに出来ちゃう人で、
自慢のお兄ちゃんだった。
クラスの友達も、いつも羨ましがっていた。
あたしはそんなお兄ちゃんが大好きで、
いつも毎日が楽しかった。
お兄ちゃんは、あたしの誇りだった。
お兄ちゃんがあたしのために、ギターを教えてくれたけど、
あたしにギターの才能なんてなかった。
そんなあたしに、お兄ちゃんはドラムを教えてくれた。
そっちはなんとか出来るみたいで、
あたしのことをよく褒めてくれた。
『なぁ、麗華。麗華がもっと上手くなったら、
お兄ちゃんのバンドのドラムスやってくれよ?』
『いいの!?れい、頑張るから!!』
それが、お兄ちゃんとの約束。
だけど、
そんな楽しい日々は、そう長くは続かなくて・・・。
お兄ちゃんが卒業した次の日から、
悪魔は足音をたてて現れた。
『え・・・?』
『だから、あんたむかつくの』
今まで、ちやほやされていたのは、
たてまえだったことにその時初めて気付いた。
教室の真ん中で、クラスメートに囲まれ、
見下ろされる感覚。
初めてのことで、頭がついていかなかったの。
『あんたの大好きな“お兄ちゃん”はもう学校にはいない』
『あんた、好かれてたとでも思ってた?』
『うちら、あんたなんか大嫌いよ』