LAST SMILE
*
今日の練習はいつもよりは短くて、
皆で揃ってスタジオを出た。
「ねぇ、今日はどこに行くの?」
「今日は悪いけど、どこにも寄れねぇよ。
何?どっか行きたいとこある?」
「え?みんな帰るの?」
「うん。用事があってさ。モッチーに」
祐兎?
あいつに一体何の用事があるっていうんだよ。
「んー」
「何?麗華、どっか寄りたかったか?」
「ううん。別に・・・」
あたしがちょっと残念そうに下を向くと、
祐兎がため息をついた。
「おい、行くぞ」
「え!?」
しょうがないから、
亜貴と一緒に本屋でも寄ろうかなって思ってたのに、
祐兎がいきなりあたしの手を掴んだ。
他の3人がびっくりしてみている中で、
祐兎は構わずにあたしの手を引いてスタスタと歩き始めた。
「ねぇ、ちょっと!!何してんのよ!?
どこに行くの?」
っていうか、
何であたしを勝手に連れてくのよ。
「うるせぇ。黙ってついて来いよ」
あの時と同じ・・・。
こいつはいつもこうやってあたしを振り回すんだ。
あたしはただ、
この背中についていくだけ。
何も喋らない祐兎に手を引かれ、
白い建物に辿り着いた。