LAST SMILE
あたしがぽかんとしていると、そいつは話し始めた。
「こいつは分るんじゃない?同じ学校だし。
種田亜貴。ベースな」
は?
「そんでこのチビすけが一個下の磯部祥吾。
こいつはサイドギター」
何。
何なの?いったい。
「んで、こいつがドラムの武田真二。んで、俺が―」
そいつはあたしに構わず話し続けた。
「ギターボーカル」
はい。
それがどうしましたかって話だよね。
なんであたしはこんなとこまで拉致られて、
こんなくだんない紹介を受けてるのかわかんない。
何?
彼氏いない歴=年齢のあたしに
この中から選んでくださいって?
そんな冗談はおいといて、あたしは口を挟んだ。
「待ってよ。だからどうしたの?帰ってもいい?」
「待てよ。逃げんのかよ。腰抜け」
「はぁ!?あんたねぇっ!!」
ムカつく。
こんなにむかつくやつ、初めてだ。
誰が腰抜けじゃい。
こんなむちゃくちゃな展開、誰が整理できるかっての!!
あたしがキレる寸前で、
亜貴と呼ばれた男がすっと前に出た。
「モッチー、言いすぎ。てかお前、ちゃんと説明したのかよ。
彼女、わかってねぇみたいだけど?」
「あ?言わなかったっけ?」
言ってません!!
てか、何?
あんた、同じ学校なら
あんたが言ってくれればいいのにっ!!
って、あたしは亜貴をじとっと見つめた。
それに気付いた亜貴はけだるそうに口を開いた。
「あのさ、俺にキレられても困るんだけど。
単刀直入に言うと、
あんたさ、俺らのバンドに入らねぇ?」