LAST SMILE







気がつくと、男達はみんな倒れていて、
祐兎は頬に血をつけて立っていた。






これ・・・。


みんな祐兎がやったの?



「ゆ、祐兎・・・?」


「おし。宿題完了!おら、立てるか?」



祐兎があたしに手を差し伸べてきた。




この手を、あたしはとってもいいのかな?



なんでだろう。


目の前にいる祐兎が、
今まであたしが見てきた祐兎じゃない気がしてしょうがないの。




この間から、なんだか違和感を感じる。



意外なこいつの一面を見てしまって、
どれが本当の祐兎なのかがわからない。







「おい?麗華?」


「え?あ、や。何でも・・・・ていうか、
 あんたいつからあたしのこと
 “麗華”って呼ぶようになったのよ!!」


「いいだろ別に。亜貴もそう呼んでんだし。
 ホラ、しょうがねぇなぁ。
 
 ん。乗れよ」




は?


え?



何その体勢。


何で背中向けてるの?




あたしがぽかんとしていると、
祐兎はため息をついた。



「いーから、乗れ!!」



「え、あ・・・。うん」


あたしはその勢いにのせられて、
ゆっくり祐兎の背中に体を預けた。




ふわっと持ち上がる体にびっくりする。


視界が一気にいつもと違うように感じた。



こいつの背、高いんだなぁ・・・。


金髪が綺麗に風になびく。



そういえば、
さっき反射してたのはこれだったんだ。






重く・・・ないのかなぁ・・・。



「ねぇ、重いでしょ?ごめんね」


「重い。重くて腕骨折しそう」


「はぁ!?あんたねぇ、
 そう言う時はフォローするのが男でしょ?」


「知らねぇ。重いものは重いんだって」




こいつ・・。


本当に残念。



いいところでこういうふうに
最低野郎になるんだもん。





でも・・・。






「・・・どうして助けてくれたの?」





「・・・・・・」








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