Wednesday ☂

「昨日どうだった…てかあんた、その手袋どしたの?左右色違うよ?」
「あ、…貸してもらいました。」
「はあ?」
「水たまりに落としたら、同じ学年の東麻くんが」

「え…ちょっと
東麻って、…東麻 恭一〔きょういち〕?」

「恭一くんっていうの?」

下の名前は知らなかったな。
でも、なんとなく顔と名前が一致してよかった。

「沙綾、…東麻ってどんな奴か知ってる?」
「あんまり、だけど。優しい人だよ「馬鹿か、やっぱりあんた本物の馬鹿だわ。」

その後の華凛の話によると、東麻くんは中学からやんちゃだったらしく。
入学早々、担任に暴力を振るったとかで停学処分をくらったらしい。

だけど、私が今日の朝会った東麻くんはそんな風には見えなかった。

黒髪でピアスも見えなかったし、クラス大半の男子より真面目そうだった。
それに、あの状況でもわかるぐらいに 整った顔の印象が強すぎて。

やっぱり…悪い人には思えない、な。

「沙綾、気を付けなよ?
あんた男受けいいから絡まれないようにしときな。」
「何言ってんのさー、大丈夫だよ。」
「…まあ、なんかあったら由紀がほっとかないか。」
「由紀ちゃん?」

「とりあえずもっと意識しなってば、あいつも男だよ?」

由紀ちゃんが男子なのは知ってるけどなぁ、
よく分からないままに華凛の話を聞きながら頷いておく。

なんとなく、
私には難しい話ってことは分かった。

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