Wednesday ☂

その後も授業はいつも通り進んで、
気付けば昼食時間に時計の針は動いていた。

お弁当を開き始めながら用意をしていると、クラスの扉がガラッと開く。
ざわついていたのに瞬間的に静かになる教室に、由紀ちゃんの低音だけが響いた。

「安達、迎え…来たんだけど。」
「い、今行きます! 待っててっ…。」

私たちの会話にざわつき始める教室、
…これはまた勘違いされる、よね。

「なあ、この教室。安達、沙綾いる?」

恥ずかしさに口を付けていないお弁当箱を閉まっていると、
新たな声が加わった。

「あ、いんじゃん。」
「…え?東、麻くん…?」
「おう。ちょっとお前と話したいんだけど「悪いけど、」

「安達には、先約いるんで。」

…ちょっと、待って待って待って?
由紀ちゃんの優しい笑顔はどこに消えたの。
東麻くんも怖い顔で由紀ちゃん見てるし、え…やだ。どうしよう。

「橘?だっけ、安達沙綾の彼氏?」
「…違うけど?
東麻こそ、安達に何の用だよ。」
「あー、それは内緒。てか安達って彼氏いないよな?」

東麻くんの声に一気に私へ移るクラスメイトの目。
こんな時に限って華凛どっか行ってるし…

「い、ませ「じゃあ付き合おう?いい?」
「へっ…え…!?…付き合うって、どういう…?」
「俺がお前の彼氏で、お前が俺の彼女。」

あまりにも急で大胆すぎる言葉に私は何も言えなくなる。

や、っぱり…東麻くんは…
ちょっと怖い人かもしれない…。

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