Wednesday ☂
「っ…、由紀ちゃん?」
「安達、ごめんな。
…東麻のことは心配しないで大丈夫だから。」
あと秋斗も華凛もありがと、と笑う彼の表情はやっぱりいつもと違う。
私のせいで由紀ちゃんに嫌な思い、させちゃった…
せっかく誘ってくれたのに昼休みはもう終わりそうだし、
…ごめんね。由紀ちゃん。
「…安達。昼休みに言えなかったから、放課後話したい。」
隣にいる華凛はわお、と開いた口を押さえる。
私はとにかく由紀ちゃんに申し訳ない気持ちがいっぱいで、大きく首を縦に振る。
「由紀!!ゆきゆきゆーき!」
「うっせぇよ馬鹿、じゃあ…また放課後来る、から。」
「…うん!」
最後は優しい目に戻っていた由紀ちゃん。
よかった…
でも、話したいことって…
頭に浮かんだのは〈告白〉というワードで、自分の自惚れ方に恥ずかしくなる。
…違うよね。
由紀ちゃんは友達、だもんね。
騒がしくなる胸の音は東麻くんのせいなのか、由紀ちゃんのせいなのか
今の私にはわからなかった。
気を使ったクラスメイトのみんなは、昼休みのことを聞いたりしなくて。
5限からも普段と変わらない、いつも通りに過ぎていった。
いつもと違うのは、
機嫌の良さそうな華凛と雨のせいでうねった前髪。
雨は強くなる一方、
ついに授業終了を教えるチャイムが鳴った。