Wednesday ☂
一度離された身体。
すぐ横の屋根のついた渡り廊下に移動したおかげで、なんとか雨が気にならなくなる。
そしてなにより
だんだんと事態を理解し始めた私は、
恥ずかしさと不安で彼の顔もまともに見れなくなっていた。
「…聞いて、くれる?」
そんな私に問いかける優しい声に
情けない顔でコクコクと首を振る。
「俺、今日の昼休み…すっげぇ焦ってた。
東麻が俺が言おうと思ったこと安達に言うし…とにかく、今言わなきゃ他のやつに先越されるなって。」
どう、しよう。
なんて言っていいのかも…どんな顔をすればいいのかも、
全然、全然わかんないよ…
「俺、ずっと 安達のことが好きだった。」
悩む私に止めを刺すように、
ストレートな台詞を呟いて笑う由紀ちゃん。
そんな顔で言われたら、…ずるいよ。
「安達。…俺、お前のこと
好きになっちゃ、駄目だった…?」
もう雨の音なんて、
なにも聞こえなくなっていた。
「…由紀ちゃ、ん…あの…私…」
どうにか口を開くことが出来たものの、なにも内容のある言葉が出てこない。
こんなの、…わかんない。
「いいよ。返事は、安達が落ち着いてからで。」
「…う、ん。」
ごめんね、由紀ちゃん。
今の私はそんな簡単なことを伝えることすら、出来なくて。
色んな気持ちが混ざった心は、
ぐちゃぐちゃになっていた。