Wednesday ☂

「おじゃましまーす…」

玄関から清潔感のある雰囲気が出ている由紀ちゃんの家。
男子の家に1人で上がるなんて、初めて。

…それに、あの話の後だから余計に緊張する。

「そんな緊張しないで大丈夫だって。
俺タオル取ってくるからそこの部屋入ってて?」


何でもお見通しの彼に言われた通り、
少し遠慮気味なまま 部屋のドアを開いた。

……ここ由紀ちゃんの部屋、だよね。
私の部屋より整頓されてる気がする…

同じアーティストのCDが積み重ねられている机に
色紙やコルクボードが立て掛けられた本棚。

どこを見ても由紀ちゃんらしい。

「由紀、帰ったのー?」

部屋に見惚れているとドアの外から女の人の声が聞こえる。

そのまま返事をする間もなく開けられた扉の前には、
長身で由紀ちゃんを連想させる綺麗なお姉さん。

「え、…あ…ごめんごめん!…由紀の、彼女さん?」
「あ、いえ!なんていうか…その、っまだ友達です!」
「あははっ
まだってことは、もうすぐ友達じゃなくなるのかな?」

初めて会った由紀ちゃんのお姉さんは私の反応を見て笑う。

「由紀が女の子連れてきたの初めてだから、期待しちゃった。」
「へ?そ、そうなんですか?」
「ほら、あいつ女々しい「誰が女々しいんだよ。」

声を遮ったのは片手にタオルを持った由紀ちゃん、
要領が悪そうに眉毛を下げて私を見る。

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