Wednesday ☂
「なんか…俺今すっげぇ楽しいんだわ。
沙綾見つけて一目惚れしてから、よく分かんないけど。」
「そ、…そっか…。」
「あ。今ちょっと馬鹿にした?」
ハイお仕置き、と自転車をわざと横に揺らしてバランスを崩されると
勢いで怖くなった私は恭一くんの腰に手を回す。
「ぷっ、沙綾は大胆だなー
いきなり抱きついちゃって。」
「ちがっ!恭一くんがっわ!も、もう!転ぶって!」
「ちゃんとくっついてたら大丈夫だと思うけど?」
意地悪に話す恭一くんにされるがまま、
近くのショッピングモールに着くまで彼の背中にくっつくしかなかった。
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「この前から新しい靴欲しくてさ、」
「靴?……って、あ!手袋!」
大切なコトを思い出した私は急いで鞄を探る。
片方だけの黒い手袋、昨日ちょうど洗って鞄に入れておいた。
「これ、ありがとっ。」
「あぁ、わざわざいいのに。」
そういうとこが好き、と優しく笑う恭一くんは
凄い台詞なのに恥ずかしくもないみたいで。
私の手を引いてお目当ての靴を探しに店に入っていく。
これはたぶん…外から見れば学校サボって遊んでるカップル…?
…もし知り合いに会ったらどうしよう。
そんな私をお構いなしに、靴を選んでいる恭一くんは満足そうで。
まあ、いっか…1日だけ、なら。
気付けば、学校のことが頭から離れている自分がいた。