Wednesday ☂
[ 今日どした? ]既読
[ もしかして、風邪引いた? ]既読
「由紀ちゃん…だ、」
「…橘?」
「あっ、…うん…どうしたのって…」
「ちょっと貸して?」
半ば強引に携帯を取った恭一くんは
私のスマホを耳に当てる。
え…?もしかして、電話しちゃってる…?
混乱しながら恭一くんを見ると大丈夫、と口パク。
そしてスピーカーにして私にも会話が聞こえるように設定する。
『安達?やっぱり、風邪引いた…?』
「やっぱりって何?
沙綾になんかしたのお前?」
『はっ?……東、麻か?』
「そーだけど。心配しなくても沙綾は昼から学校行くから。」
『なんで、…なんで東麻が安達の携帯出てんの…?』
…全然、全然大丈夫じゃないよね!?
でも今私が声を出した方が自体が困惑する気が…
『安達は…?そこにいるのか?』
「悪いけど、今寝てるから。起こすの可哀想だし?」
見えない方向へ進んでいく会話に声を出そうとすると、
彼はシー…と人差し指を唇に当てた。
なにか目的があるの、…?
『……いま、何処?』
電話越しの由紀ちゃんの声はいつもと違っていて、
頭を抱える私の頬を 恭一くんがいきなり引っ張る。
なに!?もう、全然わかんないっ!
「んっ…ひゃだ…!」
『安達!?っ…なにして!』
「悪い悪い、いきなり触ったからびっくりしたな。」
『ッおい!安達に何してんだよ!!』
「内緒。てかお前さ、そこ教室だろ?
クラスメイトの皆さんに迷惑だからそろそろ切るわ。」
『ふざけんなっ!!東麻!…』
通話終了、を軽く押した恭一くんはパニック状態の私に携帯を返す。