Wednesday ☂
由紀ちゃんと出会ったのは1ヶ月前。
初めて話したときのことは、私のふわふわした記憶の中で鮮明に残されている。
華凛に私とよく似た子がいる、と入学して早々紹介された。
今思えば派手な見た目の華凛が私に声を掛ける理由は、そんなことしかなかったと思う。
「由紀ちゃん?」
「そー、なんか雰囲気とか似てるからさ。たぶん話とかも合うんじゃない?」
「そうなんだぁ、…会ってみたいかも。」
「あ、ほんと?会ってやってよ。」
「えっ。そんないきなり悪く「ないない、ほら行くよ。」
一方通行に進んでいく会話、
華凛はいつの間にか私の元を離れて隣の4組のドアを開けていた。
ざわついていた教室の中で
由紀、と呼ばれて振り向いたのは
想像していたボブヘアで困り眉の女の子ではなかった。
キャラメル色のカーデは予想よりはるかに大きめで、
太めのズボンからは白いベルトがちらっと見える。
あれ。…あれ?
顔まで見る勇気がまだなかった私の前に現れた由紀「ちゃん」は
溜め息をつきながら私がいる廊下のほうへ足を進める。