Wednesday ☂

「最初からそうしてれば良かったのにね…
まあ、話は終わり。じゃあね。
あ、勘違いしないでね。あたしは由紀のこと好きでもなんでもない。」

あたしの友達が、あんたのせいで傷付いたから。
と、悔しそうにわたしを見る先輩に返す言葉もなかった。

…知らないうちに、わたしは。

わたしの前を通りすぎていく先輩の姿は、気が付けば薄れて見えない。
結局、涙は頬をつたっていた。





教室に戻ると、目が真っ赤になっている私を華凛が抱き締める。

全部、華凛にも話した上で

2人の告白を受けないことを伝えた。

わたしにはどちらかを選ぶことなんつと、出来そうになくて。
それならもう誰も傷付けないためにも…

わたしは馬鹿だけどそれでも、
それがいま考えられるいちばん納得のいく答えだった。

もう、決めたことだから。

華凛の悲しそうな心配そうな表情に向かって、
何度も何度も同じそう繰り返す。

私の頭を華凛はずっと撫ぜてくれて、
その温かさだけが救いになっていた。


「…後悔、しない?」
「しない…」
「強がってない?」
「…華凛、大丈夫だよ。ありがとう…」


きっと、由紀ちゃんも恭一くんも

私なんかよりずっと2人を好きな子を知らないだけ。

ちゃんと、伝えよう。

嫌われても仕方がないけど、それでも友達でいたい…
なんて言ったら…ワガママなのかな…

昼休みが終わるまで、…あと15分残っている。

「華凛。ちゃんと、正直に気持ち伝えてくるね…」
「…ついて行かなくてもいい?大丈夫?ほんとに大丈夫…?」
「大丈夫っ、…華凛…ありがと!」


私は、

決心を固めて4組の教室へ向かった。






「…っ安達、」
「由紀ちゃん…あ、あの…恭一くんは?」
「大丈夫だよ…久々に来たから職員室で担任と話してる。」
「そ、っか…
あの…今、大丈夫かな?話がしたい、んだけど…」

私の声に教室を出る由紀ちゃんにみんなの視線が移る。

でも、もうそんなことは気にならなくなっていた。







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